階段を昇りきると、すりガラスの引き戸になっている。思い切って戸を開ける。今まで行ったことのある店と比べるとかなり暗い。一瞬立ちすくんだ。もちろん一旦開けたからには、入るしかないのだけど・・・。どうしよう。
 すると、すぐにマスターが「いらっしゃい。どうぞ。」と声を掛けてくれた。
 店の中に入ると、5・6人の先客がいる。店の照明は、3本のろうそくと赤い裸電球が一つだけだ。なんとも淫靡な雰囲気をかもし出している。どきどきしながら、カウンターの席に座る。
「いらっしゃい。初めて?」
 と聞いてくる。
 ぼくが、そうですと答えると、
「普通のセックスじゃ物足りなくなったんだ」
 とマスターが言う。
 僕は、ハイともイイエとも言えず困っていると。
「なんになさいます」と聞いてきたので、ウーロンハイを頼んだ。
 一杯飲んでいると、隣に座っていた、40代くらいのちょっとタイプの人が、話しかけてきた。
「SMの経験は?」
 僕がありませんと答えると。

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