「すぐそこに『縄』って、言う店があるから、行って見たら?」
「えー、でも・・・」
「私は、SMはよくわからないけど、すぐそこなんだから行ってみたら。マスターにいろいろ話だけでも聞いてきたら?やだったら、すぐそこなんだからうちに逃げてくればいいじゃない。」

『SM』・・・、興味はあるし、雑誌などでは見かけたこともあるが、ほとんど何も知らない。

 その後は、取り留めのない話をしばらくしていたが、ほかの客が来たのをきっかけに店を出ることにした。
「がんばるのよ!」というマスターの声を後にのこし、店を出た。
 店を出るとすぐそこに白地に”縄”の文字の看板があった。今まで、素通りしてきたが表の扉は開いている。覗き込むと真っ赤な絨毯敷きの階段が見える。
 ぼくはその前を何度か行ったり来たりしたが、意を決してその階段を昇り始めた。



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