あの忘れられない夜から、もう4年も経つ。だが、その時のことは今でも鮮明に思い出すことができる。そのときの忘れえぬ体験を恥ずかしながらここに記す。
それは4年前の10月の平日の夜のことだった。僕は、その当時馴染みになっていた、二丁目のとあるゲイバーにいつものごとく顔を出してみた。そこから、あの長い夜が始まったのだった。

 バーに入ると数人の先客があって、なにやら盛り上がっているようだ。どうやら、テニスの話や芸能界のうそ臭い噂話など、このバーでのいつもの話題のようだ。この店は、テニスの愛好家が多いのだが、僕はテニスはしないし、この店のほかの客とも合う話があまりなかった。だが、マスターがタイプだったので、結構この店に来ているのだった。
 暫く飲んでいるうちに他の客は引けてしまい、マスターと二人だけになる。
 ふと思いついたようにマスターが、聞いてきた。
「○○ちゃんは元気?しばらく一緒に来てないけど、うまくいってるの?」

 その時の僕は34歳で、10歳年下の彼氏がいた。付き合って4年がたっていた。彼とはうまくいっていたが、何かが少し物足りなかった。倦怠期だったのかも知れないし、彼が社会人になったせいもあり、それぞれが独立した時間を過ごすようになって来ていたのだ。

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